悪質転売への対策を怠ったEC事業者の末路

悪質な転売が続いています。「Switch」などは値段も下がり始めましたが、続いて「PS5」や「鬼滅の刃」などが転売のやり玉に上がっています。

転売が盛り上がる一方で、従来から通常のビジネスで物販を行ってきたEC事業者にとって、自分が販売した商品がメルカリ・BASE等で高額転売されている光景を嬉しく思う人はいないでしょう。不正注文に対して各種対策を講じるEC事業者は今も増えています。

今回はこうした、悪質転売・不正転売・不正注文に対してEC事業者が、対策を全く行なわなかった場合に考えられる「最悪の事態」をシミュレーションしてみましょう。EC事業者にとって耳の痛い話かもしれませんが、損害を未然に防ぐためにも、対策を万全にする機会になれば幸いです。

悪質転売の前はEC事業者の景気がいい

あるEC事業者の商品がヒットしました。まだ不慣れなEC販売を行い、それまで月200万円くらいを上げていましたが、発売と同時にSNSで話題となり、人気急上昇。そのEC事業者の月販は500万円近くまで上がり、メーカーの生産がなかなか追いつかない状況が続きます。

そのうち、それまで1人1品の購入だったのが、ある日を境に5個、10個と複数購入する人が増えます。悪質転売の対策を行わない場合、購入のそれぞれが個人用か、転売の仕入れのための不正注文か見分けがつきません。売れ行きの良い人気商品こそ、悪質な転売屋の標的になりやすいためです。

そのEC事業者は生産現場や発送業務が忙しいため、複数購入も気にせず生産を続けました。

爆売れ中に突然やってくるクレームの嵐

悪質な転売が増加すると、対策しようがないクレームが急にやって来ました。

「納品書よりも高い金額で売られていたんだけど」

「領収書より高い金額が引き落とされている。返金して」

生産が忙しい一方で、EC事業者の事務所にはこうした電話も増え、徐々に疲労していきます。これは転売業者が、自分で購入を待たずメルカリやヤフオク、その他ECサイトで販売を行う「無在庫転売」を行ったのかもしれません。あるいは購入後、開封せずに発送したのかもしれません。EC事業者のもとには転売屋経由で購入した利用者の住所が通知され、自社の納品書を送ると、悪質な転売屋との価格差が発覚。転売屋から購入した方から、納品書の問い合わせ先である自社に電話が殺到したのでした。

こうしたクレーム対策がうまく行かないEC事業者の場合、アマゾンの星の数や楽天のレビューなどに反映され、売り上げの大幅下落や、最悪の場合アカウントの停止処分となります。

EC事業者はひとまず、「偽サイトにご注意ください」の対策と、「購入は1人1点」の表記をし、不正注文や転売に対して、応急的な対策としました。

転売発覚後の対策は難しい

転売・不正注文対策のため、EC事業者は怪しい注文履歴を目視確認し、架電をすることとしました。しかしこの対策は、全く効果を上げていません。

悪質な転売屋は、不正注文時に個人情報を隠します。偽名やつながらない電話番号、他人の番号を利用し、住所もあらゆる手口で秘匿します。

例えば不正注文の際、住所に空き家を指定し、空き家近くに受け子を待機させ、配達が来たら玄関先で受け取るといった手口や、同一人物が住所を指定する際、「漢数字で住所を記入する」「間違った住所を書く」(でも配達員の目視確認で正しい場所に届く)という手法は、悪質転売事業者の発注停止対策として、不正注文の常套手段になりつつあります。

また現代では、EC商品の配送は「デリバリープロバイダ」と呼ばれる個人事業主が行っていることも多く、地域の情報に疎いため、悪質な転売行為は物流段階でもなかなか発覚しません。

転売屋が投げ売り…EC事業者、売上ゼロへ

EC事業者は転売対策こそすれど、高騰した転売屋価格に消費者は疲弊し、新商品は徐々に飽きられていきます。

すると在庫を抱えた転売屋は、在庫を捌き切るべく、今度は定価よりも遥かに安い価格でたたき売りをはじめました。本来価格決定権を持つべきEC事業者よりも安い価格の新古品が流通することで、自社ECから購入する消費者はなくなり、残ったのは「価格が違う」「対応が悪い」など、大量の☆1レビュー。

EC事業者の現場は、途方に暮れることになります。

・買い占めを防ぐことが悪質転売対策の基本

悪質転売の増加は、ECが普及している以上避けられません。中には無在庫転売を「D2Cビジネス」と称して行おうとする人も見られます。

こうした悪質業者はどの業種であれ「弱い」方へなびきます。ある業者が「転売に適した店舗」と判断した店に、ほかの業者も転売目的で訪れ、不正注文で在庫をすべて買われ、自社商品を覚えのないECサイトやフリマアプリで見かけ、自社の売上や評判は落ちるという悪循環に繋がります。

しかし転売対策が難しい一方、不正注文の対策は可能です。

未然への投資は勇気が必要ですが、まずできる対策から始めていきましょう。特に、「転売を行う人に売らない」ことが、転売対策として有効です。

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