転売対策に重要な法律3選とその事例・判例

悪質転売や不正転売が増加しています。

アイドルチケットの高額転売で逮捕者が出たり、マスクの転売で役人が検挙されたりするなど、マーケットプレイスの進化に伴い、その存在は身近なものとなりました。場合によっては自分自身や自分の所属する組織が被害者にも加害者にもなりえます。

そこで今回は、転売対策を行う担当者が最低限知っておきたい法律をまとめます。また法律ごとの判例や事例を抑えることで、失敗の可能性をゼロにします。

1.悪質転売・不正転売とは

悪質転売・不正転売は、大きく3つに分けられます。

・利益目的の転売
・許可なく行う転売
・法的に禁止されている物品の売買 

1つ目は、商品の買い占めやアフィリエイト目的の反復購入などが該当します。法的にはグレーな側面もありますが、現在最もECの運営者の頭を悩ませる事例です。場合によっては自分の住む住所を「配達員は分かるがパット見で判別できない」表記(住所揺らし)をすることで、EC運営者の目視確認をすり抜ける事例も見られます。

【悪質転売の手口はこちら】▶︎2020年最新版・転売ヤーによる不正注文の手口とは?

2つ目は、いわゆる「古物営業法」に違反した形での不正転売行為。3つ目は古物営業法に加え、時勢などを鑑み転売そのものが禁止されたアイテムの売買を行う行為が該当します。

2、3については、これからより詳しく法律と事例を挙げていきます。転売対策を行う人は必ず知っておくべき内容です。

2.悪質転売・不正転売に適応する法律

悪質転売・不正転売の大部分は法的な規制が難しく、グレーゾーンもあります。

しかし昨今、法整備が進み、また新型コロナウイルス感染症の蔓延により、新たに個人間売買や転売そのものが禁じられたこともありました。

また五輪開催にむけ、チケット転売については大きく法規制が進みました。

詳しくみていきます。

チケット不正転売禁止法

その名の通り、コンサートやスポーツなどの悪質なチケット転売対策として制定された法律です。2019年6月に施行されています。

同法の正式名称は「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」と、かなりのロングネーム。そのため通常「チケット不正転売禁止法」と呼ばれることが大半です。

この法律は、五輪に先駆けたチケットの転売対策として制定されました。簡単に言えば「業として(複数枚の同一チケットを転売する等)」かつ「定価以上」かつ「特定興行入場券」を販売した場合、転売行為をした者が違法となるという内容です。

例えば「ジャニーズ」のコンサートは特定興業入場券にあたるため、券面価格以上で転売を行った時点で不正転売にあたります。違反した場合は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはその両方が科されます。

すでにこの法律に違反して悪質転売を行ったとして、北海道で逮捕者も出ています。実際の事例・判例は後述します。

古物営業法

古物営業法とは、中古品(未使用品含む、何かしら利用者の手に渡ったもの)を買い取ったり、売ったりする際に適用される法律です。

1949年に制定された古い法で、リユースショップ経営者や、質屋の店主など、中古に関わる人はもれなく同法を知り、遵守する必要があります。

最近では「せどり」など個人事業主として同法に準じた古物営業許可を取得する人物が増加しており、公安委員会から許可を得た人々による不正転売や悪質転売が平然と行われています。

そのため、販売している商品が新品でも、転売対策を行いたいEC事業者は必読の法律と言えます。

転売対策として、購入履歴などから悪質な転売を行う人物を突き止めた場合、まず古物商を持っているかどうかを確認します。違反(不所持)の場合、古物営業法の無許可営業にあたり、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金にあたるとされています。これを根拠に転売対策が可能になります。

なお、古物商をもっている場合は各都道府県の公安委員会(警察)が申請者の氏名や法人名、URLを公開しているため、容易に転売を行う人物を特定できます。

ただし、古物商が必要な業としての売買基準は、たいへんあいまいです。そのため転売対策が難しく、悪質な転売が横行する要因になっています。

国民生活安定緊急措置法

新型コロナウイルス対策としてマスクの着用が奨励される一方で、活発化したマスクの転売。同法はマスク転売対策の法律として、アベノマスクとならんで注目を集めました。

この法律の制定はオイルショックのあった1973年。マスク転売、消毒アルコール転売が問題視されたため、転売対策の根拠となりました。違反の場合、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金が転売屋に課せられます。

現在はすでに、この法律による転売規制は解除されていますが、メルカリなどマーケットプレイスのほとんどはいまだに転売を禁止しています。

今後もマスクやアルコールの需要は高いことが見込まれますが、このルールによる対策から、現在も転売行為そのものが難しいと言えます。

3.転売事案の判例・事例

ここまで転売にまつわる法律を紹介してきました。
この章では、実際に転売によって起きた判例や事例をいくつか紹介します。

嵐のチケット高額転売、被告に有罪判決 大阪地裁

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63105230X20C20A8AC8000/

「嵐」のチケットを3名に対し合計29万8000円で転売したとして、北海道の保育士が2020年8月に処罰されました。

判決は、懲役1年6ヶ月、執行猶予3年、罰金30万円、偽造身分証の没収。前科がないため執行こそつきましたが、売上金は全て没収されました。

超希少「響30年」偽物をメルカリで売って逮捕

https://news.line.me/issue/oa-bengo4com/ff989fe6de9a

メルカリでサントリーの高級ウイスキー「響30年」の偽物を販売したとして古物店の店員が2018年9月に逮捕されました。

響のカラ瓶に違うウイスキーを入れて5本販売、99万円を違法に得たという疑い。詐欺や商標権侵害、酒税法違反が指摘されています。

マスク高値転売、全国初の国民生活安定緊急措置法違反容疑で書類送検

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20200522-OYTEW521279/

ネットでマスクを定価の2倍で転売した疑いで、三重県の経営者が5月に逮捕されました。

マスク1000枚を経営する店舗で転売し、5万円以上の利益を得た疑い。

罪状は、国民生活安定緊急措置法違反容疑。店舗経営者のため転売の意識が薄く、あくまで仕入れて販売したという考えと予測されますが、当時品薄だったマスクを転売したとみなされました。

現在、マスク転売は罪に問われませんが、フリマアプリなどの大半は出品を禁じています。

ギャルソン社員、自社の「古着」転売で書類送検…中古品の売買に潜む「落とし穴」

https://news.nicovideo.jp/watch/nw7444197

コムデギャルソンを扱う企業に勤める男性が古着を転売して逮捕されました。

フリマアプリで452点を転売、216万円を稼ぎました。2020年5月に古物営業法違反で逮捕されました。

古物営業許可を得ずに大量の中古品転売を行なったことが要因です。

このことから個人の転売でも規模によっ
ては転売によって罪に問われる可能性があります。

4.まとめ

転売対策の一環として法律面とその事例を紹介しました。上記のようにあからさまな違法性があるものから、些細なことで処罰される事例もあります。

このため、怪しいと感じた購入者やメルカリの出品者、チケットや酒類の転売ヤーについては、状態によっては違法状態であることが考えられます。

こうした転売を未然に防ぐ試みも必要ですが、転売の被害を受けた際は法律面での対抗策も検討してみてはいかがでしょうか。

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