チケット転売の対策「不正転売禁止法」とは

アーティストによるライブやスポーツ、舞台などのチケット転売対策として制定された「チケット不正転売禁止法」。転売対策を行う事業者の中でも特にチケットを取り扱う場合は必ず抑えておきたい法律です。

チケット不正転売禁止法とは

この法律は2019年6月14日から施行された、名前の通りチケットの不正転売対策として制定された法律です。正式名称は「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」で、特にこの「特定興行入場券」というワードが転売対策をする上でのキモとなります。

特定興行入場券とは 

「興行」とは、映画、演劇、演芸、音楽、舞踊その他の芸術及び芸能又はスポーツを不特定又は多数の者に見せ、又は聴かせることを指します。興行入場券とは、上記のイベントに入場するための券。

ここに「特定」が付くのは、以下のような条件が当てはまる場合です。
・興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨を明示
・興行が行われる特定の日時及び場所が指定され、かつ、入場資格者[注 3]又は座席が指定
・興行入場券の券面に氏名や連絡先を明記

噛み砕くと、興行主が転売禁止とし、チケットと入場資格者を紐付けた場合に「特定興行入場券」になります。

もしこの特定興行入場券を定価以上で不正に転売した場合、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処されます。

https://www.corporate-legal.jp/news/3657

法律によるチケット転売対策

これまでも迷惑防止条例べースで都道府県ごとでのダフ屋取り締まりが行われていましたが、法規制が入ることでより強力な転売対策となります。

実際、2019年に開催されたラグビーのワールドカップでは、不正転売禁止法に基づく「特定興行入場券」の形式でチケットが発券され、不正転売防止のために公式のリセールサービスも完備。

そのため、従来のスポーツイベントで200件近くあった入場拒否が数十件まで減少したとされています。「ワンチーム」という流行語を生むほど盛り上がったイベントでも大きな抑止効果を発揮したと言えます。

http://www.waseda.jp/sem-fox/memb/19s/tajima/tajima.index.html

既にチケット不正転売による逮捕者も

また、チケット不正転売禁止法の施行前後から早々に逮捕者も出ています。

チケット不正転売容疑、都職員を逮捕 3200枚転売か

https://www.asahi.com/articles/ASMCX3Q1FMCXUTIL00C.html

2019年7月から10月にかけて、プロ野球や宝塚歌劇団のチケットを高額転売したとして、東京都主税局千代田都税事務所職員が同年11月に逮捕されました。

定価を3万円以上上回る、5万6500円で転売をした疑い。また特定興行入場券を除いたチケットも含め、3200万枚、4700万円相当を転売していたことも判明しています。

チケット不正転売禁止法での逮捕者は、山内容疑者が初です。

嵐のチケット高額転売、被告に有罪判決 大阪地裁

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63105230X20C20A8AC8000/

2019年10月に「嵐」のチケットを3名に対し合計29万8000円で転売したとして、札幌市白石区の保育士が2020年8月に処罰されました。

判決は、懲役1年6ヶ月、執行猶予3年、罰金30万円、偽造身分証の没収。前科がないため執行こそつきましたが、売上金は全て没収されました。

チケット以外は不正転売禁止になるのか

同法の施行後、マスクに始まりトイレットペーパーや鬼滅の刃などの映画チケット、ゲーム機やソフトに至るまで、あらゆる場面で不正転売が行われるようになっています。コロナ下ではマスク転売に規制がかかりました。

不正転売を行う人物は、需要が供給を上回る「ビジネスチャンス」をめざとく嗅ぎ分けます。

今後、チケットに限らず、いくつかの商材において不正転売を禁止する法律や条例が定められる可能性もまったくないわけではありません。

一方で、一様に法規制をするのが難しい背景もあります。転売が禁止された場合、消費者は「不要になった際に捨てるしかない」「どうしても欲しいのに手に入らない」という不都合が生まれ、その線引は難しいものです。また企業側も、金券ショップの中には数百億を売り上げる企業があり、チケットリセールサイトも複数存在していることから、規制による経済損失も少なく有りません。

だからこそ転売対策は、まず自己防衛から。

チケットを取り扱う場合でも、システムの導入や販売方法の見直しから転売対策を始めてみるのがおすすめです。

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