転売 防止とは?D2C・定期通販における転売防止の具体策と、転売防止法の影響を解説

コロナ下で副業がブームとなり、いわゆる「電脳せどり」などの 転売 が広まった結果、不正転売を行う人の数は増えているようです。

ECを運営する事業者にとって、こうした転売への対策、また不正注文に対する対策は、無視できない課題になっているのではないでしょうか。特に、初回特典などで割引の大きな定期通販を扱う事業者や、直販を主とするD2Cの事業者にとって、頭の痛い課題になりつつあるはずです。

この記事では、D2C商材・定期通販などで散見される不正転売の事例と被害、そして対策について、詳しく解説していきます。

D2C・定期通販における 転売 防止とは?

転売とは、「購入した商品を更に別の場所で販売すること」を指します。これが悪質化すると、買い占めや価格のつり上げに繋がり、ニュースになったり、事業者に被害が発生したりします。

D2C・定期通販における転売被害は、大きく二分することができます。

・割引価格で購入し転売することで粗利を得る手口
・Amazonなどのマーケットプレイスで売られていない商品を値段を吊り上げた上で転売する手口

特にマーケットプレイスなどで購入が難しく希少価値の高い「自社ECでの直販商材」=D2C商材や、初回限定の割引特典がある「定期通販商材」は転売被害が起きやすいと言われます。

具体的には、以下のような事例が考えられます。

・初回1000円、以降3980円の化粧品の初回版だけ購入し、フリマアプリで2480円で販売される。定期的に発生するため本来の顧客も初回で解約しメルカリ等で買ってしまう
・お試し価格で1ヶ月3300円、以後7560円の健康食品を、明らかに捨て垢のメアドを使う人物が初回のみ購入し、マーケットプレイスを調べると5400円で販売されている

D2C商品は市場への流通が少なく、公式がアマゾンなどのマーケットプレイスで販売しないことがほとんどです。

初回単価の低い定期通販商材は、初回購入の後に即解約を繰り返すような不正注文により、定価より安い転売品が出回り、顧客の定着が進まない課題が生まれます。

一方で転売防止や転売対策を行うのも難しく、D2C商材をマーケットプレイスで売ればファンからの求心力を失い、定期通販の割引を減らせば購入者数の減少を招くデメリットがあります。

それでは、こうしたD2C商材や定期通販商材の転売に対し、法整備という観点でどのような動きが出ているか、次の章で、見ていきます。

D2C・定期通販における 転売 防止法の影響

D2C・定期通販における 転売 防止法のイメージ図

転売防止のために制定された法律は主に「古物営業法」があります。また他に「チケット転売禁止法」「国民生活安定緊急措置法」という法律が存在します。

古物営業法は転売を含む「中古品売買」全般に関わる法律で、チケット転売禁止法はスポーツやライブなどの興行チケット売買に関する法律、また国民生活安定緊急措置法は、緊急時における生活必需品の流通を円滑にするための法律です。

古物営業法

先述した3つの法律のうち、D2C商材や定期購入商材転売の対策となりうる法律は、「古物営業法」です。

例えばフリマアプリ等で複数回の転売を行った場合、古物営業法に抵触する可能性があります。(自分の持つ不用品を売るのはOK)

古物営業法では、第二条で「古物を売買し、もしくは交換し、または委託を受けて売買し、もしくは交換する営業」を古物営業と定め、古物営業を行いたい場合は第三条で「都道府県公安委員会の許可を受けなければならない」と定めています。

噛み砕けば、「転売するなら警察に届けないといけない」という意味になります。

そのため、転売対策として、購入履歴などから悪質な転売を行う人物を突き止めた場合、まず古物商を持っているかどうかを確認します。

違反(不所持)の場合、古物営業法の「無許可営業」にあたり、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金にあたります。これを根拠に転売対策が可能です。

古物営業法は主にリユース店、チケットショップや中古車販売店などが気にする法律なのですが、転売対策を行いたい事業者にとっても、必ず知っておきたい法律です。

チケット転売禁止法

名前の通りチケットの不正転売対策として制定された法律です。

正式名称は「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」で、内容は「特定のチケットを継続的に定価以上で販売した場合、違法となる」というものです。

特定のチケットに分類されるのは、音楽やスポーツなどの興行イベントにおいて、興行主(主催)が転売を禁止した旨をチケットに記載し、また開催日や入場者、または座席が指定された状態のものです。

こうしたチケットと入場者が紐付いたチケットを転売した場合、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処されます。

国民生活安定緊急措置法

この法律は、「オイルショック」のあった1973年、トイレットペーパーなどの買い占めを防ぎ、流通を安定化させるために制定されました。

これが2020年、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、一時期法外な価格でのマスク転売、消毒アルコール転売が行われ、「マスクが足りない」という状態に。

政府もこの状況を問題視し、この法律を根拠に「マスク」「消毒液」の転売を禁止しました。2020年5月には逮捕者も出ています。

違反の場合、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金が課せられます。

この記事を制作した時点でもコロナは落ち着きを見せていませんが、現在はすでに、この法律による転売規制は解除されています。一方、メルカリなどのフリマアプリやマーケットプレイスの大半では、未だにマスクや消毒液の転売を禁じる事業者が大半です。

「チケット転売禁止法」「国民生活安定緊急措置法」それぞれ19年、20年に注目を浴びた、転売を禁じる法律です。

特に「チケット転売禁止法」では嵐のコンサート券転売が、「国民生活安定緊急措置法」ではマスクや消毒液、うがい薬の転売が盛んに報じられました。

また、最近では、三重県伊勢市が公式HPにて大々的に「転売」に対し注意喚起を行っています。

こうした背景から消費者に対する「転売=悪」という意識の浸透は進んでいますが、例えば古物商を取得した上で不正転売に手を染めている場合などはほとんどの転売が合法であり、法によるEC事業者の保護は道半ばといった状況です。

転売禁止の品を転売するのは「詐欺罪」

法的な保護は弱い現状ですが、一方で自己防衛は可能です。

特にEC事業者の事業者にとって有効なのは、規約に転売を禁じる条文を追加することです。

これを事前に行うことで、転売を行った人物を特定した場合、「規約違反」また「最初は転売するつもりはなく不要になったから転売した」という場合も、複数回にわたり転売を行っていた場合は確信犯的行為のため「詐欺罪」を適用できる可能性があります。

そのため、まず自社製品を守るためにも、公式サイトやECに「転売禁止」の旨を明記しておきましょう。販売元が転売を禁じている商品は、マーケットプレイスやフリマアプリにおいても扱いが厳しく、事業者からの申告によって出品を取り下げたり、出品したアカウントに対してペナルティ対応をとってくれる場合があります。

また、「無在庫転売」を行っている場合、違法ではありませんが大半のマーケットプレイスで規約違反になります。また最近菅総理の就任にあわせ、フリマアプリで本人のものとされる名刺が転売される事態が起きましたが、個人情報を含むアイテムの売買は規約違反です。自社の商品でこうした事例を発見した場合は、こちらもマーケットプレイスへの通報が有効です。

こうした対処法は手間もかかり、地道な努力が必要です。もちろん余力があれば実行する価値はありますが、自社で扱うECの規模が拡大し、流通量が増えていくごとに、1件1件の対応は現実的に厳しくなります。

その場合は、転売そのものに対策が必要です。具体的な転売防止・根絶策は、章の最後で詳しくまとめます。

D2C・定期通販で発生する 転売 のよくある3つの手口

D2C・定期通販で発生する 転売 を行う悪い人

ここからは転売で散見される手口を3つ紹介します。主に個人が「物販」などと称し行うことがほとんどですが、中にはコロナ下で「副業」をうたい集団的に行っていたり、実際に副業として不特定多数に転売を行わせることも不可能でない時代になっています。

手口1:複数アカウント(捨てアカ)で購入し 転売

「お一人様1点限り」定期購入やD2Cでよく見られる転売の手口として、同一人物による複数アカウント購入は常套手段になりつつあります。

ECツールからエクスポートしたCSV等で目視確認を行うEC事業者も多いですが、転売する側もアカウント登録と退会を繰り返す、虚偽の個人情報を使うなどをすることで、EC事業者による転売対策に引っかからないようにしています。

この手口は転売だけではなく、アフィリエイトの報酬を目的とした不正購入や、アフィリエイト報酬と転売を同時に行う不正転売でも行われることがあります。

手口2:複数回購入がバレぬよう「住所揺らし」

上記の複数アカウント購入よりも巧妙な転売の手口として、「住所揺らし」という手口があります。

これは、「機械では判別できないが郵便や物流事業者なら分かる住所」を複数使うことで、複数アカウントをわかりにくくしたものです。

たとえば国会議事堂の住所は
「東京都千代田区永田町1丁目7−1」
ですが、これを揺らして
「東京都千代田区永田町一-七-一」
「東京都千代田区永田171」
「東京都千代田区ながた町1丁目七番地いちごう」

などで登録することで、ソートしても見つからなくなるというものです。

手口3:クラウドソーシングを使って他人経由で購入

コロナ下で注目を浴びた副業ですが、一部では転売で悪用する事例がみられます。

例えばクラウドソーシングサイトを用いて、多数の副業ワーカーにサイト経由で商品を購入させ、自宅の住所に転送をした上で、副業ワーカーにはマージンを上乗せした報酬を支払うという手口です。

通常の通販ではありえない手法ですが、初回特典などで割引率の高い商品や、希少価値の高い限定品などは転売での利益が高く、この手口が成立します。また副業を謳うことで手っ取り早くお金の欲しい副業初心者を集めやすいという意味でも、対策の難しい転売の手口と言えます。

D2C・定期通販における 転売、3つの想定被害

D2C・定期通販における 転売、3つの想定被害に悩む人

こうした転売に遭遇した場合、EC事業者はどのような悪影響が考えられるでしょうか。

被害1:転売屋が自社ECのより廉価で販売!売上も激減

もっとも大きい問題として、自社の販売価格よりも安い価格で転売が行われ、売上が減ってしまうということです。

特に定期購入を促す通販商材の場合、初回を赤字覚悟で値引き、その後投資回収を行い、利益を挙げていくというビジネスモデルを採用する商品も多いでしょう。

転売の被害に合うと、初回のみ購入し即解約、その後マーケットプレイスに定価よりも安い値段で転売する事例が増え、利益を挙げにくくなることが想定されます。

被害2:不正転売でクレームの嵐

また、転売で怖いのは、本来転売を行った人に届くべきクレームが、EC事業者や生産者に行くということです。

考えられるケースは以下の通りです。

☆「届いた商品のイメージが違う」というクレームをよく聞くと転売が行われており、出品画像に必要以上の加工が施されていた

☆「同梱されていた納品書と購入した価格が違う」と言われ確認すると転売屋から買っていた。しかし購入者は「詐欺で訴える」と主張。警察沙汰になるのを恐れ、泣く泣く返金+菓子折り対応をした。

被害3:ブランド力の低下

EC事業者にとって不安要素なのが、悪評の拡散です。

例えば、出品した覚えのないECサイトに自社商品が有り、調べるとレビューが「★1」だらけの大荒れ状態。「箱を開けた痕跡がある」「中古品のよう」「説明書やシリアルナンバーが入っていない」…。こうした商品を顧客が買いたいとは思わないはずです。

現代では、消費者心理は「AIDMA」ではなく「AISAS」(検索や情報収集を行った上で購入&共有する)といわれています。

そのため、転売がブランドを毀損し、ネットで評判が拡散されると、特にD2C事業者にとっては致命的な損害となります。

詳しくはこちらの記事でも紹介しています。

例えばEC事業者の場合、1日だけセッション数が急伸し、また翌日に落ち着くという動きが数回繰り返されるのが、転売の兆候です。こうした兆候があったら、すぐに対策を講じましょう。次章で転売防止策について詳しく紹介します。

D2C・定期通販における3つの 転売 防止策

D2C・定期通販における3つの 転売 防止策を検討する人

これらのことから、転売の被害は一時的な売上減にとどまらず、放置すると虫歯のように経営を痛め続け、最終的にはプロダクトそのものを破綻させてしまうリスクがあります。

今後フリマアプリが日常となり、さらに海外への越境販売も手軽になっていくと言われている時代、「売上の数%しか被害はない」とたかをくくると、転売を放置すると先述の事例よりもさらに深刻な事態となることが予測されます。

そのため、ただの転売対策というよりはサイトを安全に運営するための「セキュリティ対策」として、一歩踏み込んだ対策が必要です。

転売 防止方法1:アフィリエイト設定の見直し

転売防止策としてまず挙げられるのは、アフィリエイト設定の見直しです。

アフィリエイトで報酬を稼ぐ、いわゆる「アフィリエイター」は、D2C商材や定期通販を拡販してくれるありがたい存在である一方で、一部の悪質なアフィリエイターは自身の利益のために不正購入や転売を行います。

そのため、転売防止策としてアフィリエイトの「自動承認」をやめ、審査制にするという方法があります。

この方法によりアフィリエイターの質を担保でき、安全なアフィリエイト運用が可能になります。

転売 防止方法2:フリマサイトの巡回と削除依頼

転売された商品をパトロールし、出品停止措置依頼を継続的に行うことも、転売防止対策の方法として有効です。

転売を行う人は「楽して稼ぎたい」と考えている人が大半です。実際にSNSなどを見ると、「楽に毎月○○万円稼げる」などと転売を勧めるユーザーがいます。

そのため、「○○社(自社)の商品はすぐに垢BAN(出品停止)される」という噂が流れれば、転売屋は他の商材を探します。

フリマアプリで自社商品を探し、出品停止措置をしたり、楽天やヤフオクなどをパトロールし、不正転売を行っているアカウントを報告しましょう。

その際、事前に自社サイトの規約などに転売を禁止する旨を表記しておけば、根拠となり、フリマアプリ運営企業の対策も取りやすくなります。

転売 防止方法3:不正注文検知サービスの導入

多くのEC事業者は日常業務で手が回らず「アフィリエイト対策やフリマアプリ巡回等の安全対策をしたくてもできない」という状況かもしれません。

そうした場合は、AIに転売防止を任せることもできます。例えば不正注文検知サービスの「at score」では、先述の住所揺らしや、同一IPアドレスからの複数アカウントによる注文を自動で見抜き、転売を阻止する事ができます。

イメージとしては店内にロボット警備員を配置して、万引を摘発してくれるイメージです。

ECサイトでこれを実現できた仕組みは、「信用のスコア化」です。過去の注文にさかのぼって、メアドの使われ方や、個人情報、住所の書き方などを総合してスコア化し、不正注文と判断できるスコアに達した際にEC事業者に通知を行います。

いざ運用してみると、不正転売を行っていた人間はたった数名だったという事例もあります。不正な注文や転売に課題を感じたら、不正転売検知サービスの導入は有効打になります。

https://ecnomikata.com/original_news/28264/

1 comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です