D2C・定期通販における なりすまし注文 とは?よく発生する手口と具体的な対策・対処法を解説

なりすまし注文 の被害を受けるD2C・定期通販事業者が増えています。特にこれまで目立った被害の出なかったD2Cブランドや定期通販のECを運営する事業者でも、注文先から「注文した覚えがない」という不信感を伴った問い合わせが入る事態も。

なぜ、D2C・定期通販の業界でもなりすまし注文の被害が起こりうるのか、またその手口と、有効な対策はどういったものがあるのか、この記事でどこよりも詳しく紹介いたします。

また、なりすまし注文はAI技術の進歩により今後、徐々にできなくなっていく明るい兆しもあります。こうした2021年最新のDX事情にも触れていきます。

D2C・定期通販における なりすまし注文 とは?

なりすまし注文をする人

なりすまし 注文 とは、他の人の名前・住所・連絡先を不正に利用して注文し、代引きなどの後払い決済を利用して、他人に商品を送りつけるというものです。定期通販やD2C事業者の中でも、自社ECを管理運営している場合、ECプラットフォームがまだなりすまし注文などの不正注文に対応していない場合が見られます。

なりすまし注文の起こる要因としては、以下の3パターンに大きく分けられます。この章では「いやがらせ目的」「報酬目的」「転売目的」の3パターンで、D2C・定期通販で起こりやすいなりすまし注文の事例を紹介します。

1.いやがらせ要因のなりすまし注文

特定の個人に対しての嫌がらせ、あるいはEC事業者への嫌がらせとして行われるなりすまし注文です。

実在する第三者の住所、または架空住所で、代引き支払いで注文することで、「頼んでないのに注文が来る」という対個人の嫌がらせができてしまいます。

この手のなりすまし注文は、玄関口で代引き決済を要求され泣く泣く支払った場合、その人にとってなぜか到着してしまった「商品」に対してのみならず、「EC」というインフラに対して嫌悪感や不信感を抱く可能性があります。また代引受取を拒否した後も、事業者側がなりすまし注文の被害者に対して往復送料、代金引換手数料、梱包資材料を請求する場合があり、クレーム・顧客離れに繋がります。

EC事業者にとって時間・費用・精神的に負担がのし掛かるという意味で、なりすまし注文は非常に厄介な犯罪といえます。

2.アフィリエイト報酬要因のなりすまし注文

また定期通販商材のうちアフィリエイトを活用して拡販している事業者は、アフィリエイト報酬の不正獲得を狙ったなりすまし注文の被害も想定されます。

アフィリエイターに拡販を依頼している場合、一部の悪質な人物によりアフィリエイトの報酬目的でなりすまし注文が起きることがあります。実在する第三者か、架空の住所で、代引き支払いで注文をし、発送後に受取拒否・クレーム、あるいは住所不定として商品はEC事業者に返送、しかし注文に至ったため、アフィリエイト事業者には成果報酬が渡る、という事例があります。

3.転売目的のなりすまし注文

なりすまし注文の中には、商品の転売を行うため、架空の人物を名乗って購入を行うことがあります。特に定期通販では「お一人様1つ限り」など制約を設ける事業者も多いと思われます。転売目的で仮名登録し、同人物の住所宛にして購入後、受取・支払いは行われるが、転売されるという事態が考えられます。

定期通販で「初回限定価格」を掲げている場合、特に起こりやすい事例です。初回価格で仕入れ、解約し、アマゾンや楽天などのマーケットプレイス、メルカリやラクマなどのフリマアプリで初回価格以上、通常価格以下で売り、粗利を稼ぎつつ定期通販事業者に損害を与えます。

(※当記事は上記のなりすまし注文を推奨するものではありません。悪用は絶対におやめ下さい。ECの不正利用は詐欺罪(第三十七章 詐欺及び恐喝の罪)や業務妨害罪(第三十五章 信用及び業務に対する罪)が適用される場合があります

D2C・定期通販で実際に発生した なりすまし注文 の3つの手口

D2C・定期通販でなりすまし注文 する悪い忍者

D2C・定期通販でなりすまし注文が起こる土壌があるということがわかりました。しかし、「うちは起きていない」「すでに目視確認など対策をしている」と思われる事業者の皆様も多いはずです。

被害が出ないことに越したことは有りませんが、近年では手口が巧妙化し、気が付かないうちになりすまし注文の損害を拡大させていたという事態も考えられます。特にコロナで売上や販売個数などの規模が拡大したEC事業者は、過去よりも注文数が増加したことで発送業務等が多忙になり、不正注文対策が疎かになっているパターンもありえます。

この章ではよくある手口として「後払い決済の悪用」「クレカ不正利用」「住所揺らし」について紹介します。

手口1:後払い決済を使ったなりすまし注文

なりすまし注文の中で最も起こりがちなのが、代引きなどの後払い決済を悪用した手口です。注文時に「代引き」「商品着後のコンビニ決済」「銀行振込」等の決済手段を選択し、なりすまし注文。すると購入した覚えがないのに玄関口で代金を請求されたり、身に覚えのない振込用紙が到着します。

こうした被害を見越して、後払いを一切受け付けないEC事業者や、クレジットカード払いのみ可能な事業者も一定数いますが、顧客層によっては現金志向が強く、代引や振り込みを求める需要は根強くあるため、後払い決済をやめると売上も数割落ちてしまうリスクがあります。

手口2:クレジットカードを不正利用してなりすまし注文

ネット上で不正にクレジットカード情報を購入・取得し、第三者名義で注文する詐欺行為「クレカ不正利用」も懸念すべき問題です。

日本経済新聞によると、2019年は34万件のクレカ情報の流出があり、18年から1年で倍増しています。

クレカ情報の取得手口においても、偽の決済画面にジャンプしたり、不正プログラムが埋め込まれるなど巧妙さを増しています。

クレカ不正利用が事業者にとって脅威なのは、不正利用のみならず、チャージバック被害にもつながるためです。
チャージバックはEC事業者にとって売上も在庫もなくなってしまう恐ろしい現象の一つですが、具体的に起きることとしては以下のような事態が考えられます。

①クレカ情報を悪徳な個人・事業者が不正入手
②ECで不正に注文
③本来の持ち主がクレカ事業者に被害を訴える
④クレカ事業者が売上代金を取り消し
⑤EC事業者はクレカ事業者に売上代金を返還

こうなってしまうと、もう発送した商品在庫も、売上も戻りません。

こうした被害は通販商品やD2C商材の中でも、高額なものが狙われやすいため、万全なセキュリティ体制を構築したいところです。

手口3:住所揺らし

巧妙ななりすまし注文の手口として「住所揺らし」があります。

これは、「機械では判別できないが郵便や物流事業者なら分かる住所」を複数使うことで、複数アカウントをわかりにくくしたものです。

こうすることで、本来同一住所と気が付き、発送時に本人確認などを行えたはずの住所確認をすり抜け、同一人物に大量の商品が送りつけられる事態が考えられます。

アフィリエイト報酬や転売目的の「捨てアカ」を用いた複数注文でも、散見される手口です。

たとえば、EC事業者がおなじみの「楽天株式会社」の住所は
「東京都世田谷区玉川1-14-1」

ですが、これを揺らして

「世田谷区玉川一ー十四-一」
「世田谷区王川1・14・1」
「せ田谷区たまがわ1-14-1」

などで登録することで、ソートしても見つからなくなるというものです。

こうした手口による具体的な被害はこちらの記事でも解説しています。

D2C・定期通販におけるなりすまし注文の対処・対応法と4つの具体的対策

D2C・定期通販におけるなりすまし注文から事業を守る人

こうしたいたずら注文による損失は、往復送料、代引き手数料、再販不可の商品はその原価が損失として発生します。加えて人件費や時間コストの増大、経営者に対する心理的な負担が考えられます。

また、被害額が数千円程度にとどまることから、警察等への相談をしても解決に結びつきにくいのが現状です。そのため被害者の「泣き寝入り」を招き、いたずら注文が横行する要因になっています。

しかし、こうしたなりすまし注文への対処法は複数あります。この章では具体的な対策、対応方法をご紹介し、みなさまのECから不正ななりすまし注文を一掃します。

対応1 なりすまし注文に関する警告文を掲載

コストをほぼかけず最も簡単に取り組める対策として、いたずら注文やなりすまし注文に対しての対応を表記するという対応策があります。大手企業も「利用ガイド」などのページ内になりすまし注文への対応や警告文を掲載している事例が多く見られます。

以下に、その例文を掲載します。

「なりすまし・いたずら注文について」

架空または他人の個人情報(氏名・住所・電話番号等)を勝手に使用した「いたずら注文」や、誰かになりすました「なりすまし注文」、「所在不明」、自己都合による「受け取り拒否」などの被害が増加しています。

当社をご愛顧いただく大多数のお客様にご迷惑をおかけする可能性を鑑み、やむをえず以下の対策をいたします。ご理解を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

○当社の対応
・注文に際し、注文内容の確認連絡をさせて頂く場合がございます。
・電話やメール等で連絡が取れないと当社が判断した場合、取引をキャンセルいたします。
・過去のお取引から注文をキャンセルする場合がございます。
・なりすまし注文、いたずら注文により当社や第三者に損害を与えた場合、警察へ被害届として個人情報やIPアドレスを提出させていただきます。
・損害賠償として商品代金、送料、代引き手数料、訴訟費用や裁判所への往復交通費のご負担をお願いいたします。
・その他、意図的な注文キャンセル、悪意のある注文や行為につきまして、被害届の提出並びに損害賠償請求をいたします。

上記のような文章を表記しておくことで、その内容を根拠に発生費用の請求などを行うことが可能になります。完全になりすまし注文やいたずら注文を根絶することはできませんが、多少の抑止と、保険にはなります。

対応2 アフィリエイト設定のみなおし

D2C商材や定期通販商材の新規獲得策として、アフィリエイターによる情報発信に力を入れているEC事業者も多く見られます。

しかしアフィリエイターが、報酬目当てのなりすまし注文を行う場合があります。

その際は、対応策としてアフィリエイト報酬の発生条件を見直してみましょう。例えば注文時点で報酬が発生したり、セルフバックと呼ばれる自分自身での購入を許可している場合、アフィリエイター本人によるなりすまし注文が発生する要因になります。

また、アフィリのポータルサイト上で案件を募集する際に、アフィリエイト申請者に対して事前審査を行うのも有効な対策です。

一方、報酬発生のタイミングを「商品到着後○○日」「定期通販で○回目の購入」など後ろ倒しにするのも手ですが、あまりにも条件を厳しくするとアフィリエイターの参入がなくなってしまう恐れもあります。

対応3 3Dセキュア導入もしくは3Dセキュアv2の検討

なりすまし注文を防ぐ有効な対策として、「3Dセキュア」の導入が考えられます。3Dセキュアはクレカ事業者の各社が定める本人確認の仕組みで、購入者がクレカ番号・セキュリティコードのほかに、自身で定めたパスワードやワンタイム認証を行うものです。

この対策により、漏洩したカード情報を悪用したなりすまし注文を始めとした、クレジットカードを利用したなりすまし注文をほぼ根絶することが可能です。

「3Dセキュアを入れたくない」というD2C・定期通販事業者の声も一定数あります。その要因として、3Dセキュアが「カゴ落ち」を増やす、という理由が大多数でしたが、3Dセキュアv2では、この「カゴ落ち」率を70%改善していると言われいます。

対応4 不正注文検知サービスを使用

昨今では、AIがなりすまし注文を検知する「不正注文検知サービス」が存在します。D2C・定期通販事業者が被害を受けやすい不正注文のうち、例えば不正注文検知サービスの「at score」では、なりすまし注文による被害やかご落ちを減らしながら、チャージバック、住所揺らしの対策も行えます。

例えば同一人物が嫌がらせのために複数回の注文を行った際、同一のIPアドレスからの注文であることを見抜き、発送前にアラートを発することができます。住所揺らしもAIが学習し、目視でわからないレベルでも機械が怪しい注文を検知します。

機械が判別を行うため人的コストも発生せず、また正しくECを利用する顧客に対し、パスワード入力や後払い拒否などの負担を強いることもないため、導入が徐々に広がっています。

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